あらため理解する課題「廃プラ問題」とはなにか?

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レジ袋の有料化やプラスチック製ストローの廃止など、日本に暮らす私たちの身近なところにも「廃プラスチック問題」に関わる影響が年々増しているのを実感している方も多いと思います。

 

その背景には、増え続ける大気や土壌などの環境汚染に歯止めをかけるため、中国が2018年1月に資源として輸入していた廃プラスチックの輸入を原則禁止したことがあります。ここからもわかるように、廃プラスチック問題は日本や中国など1つの国で完結する問題ではなく、世界全体の問題として捉えるべきなのです。

 

そこで今回は、廃プラスチックの問題について改めて理解して頂くために、日本と世界を比較しながら廃プラスチック問題について解説させて頂きます。

いま地球上にある廃プラスチック問題

廃プラスチック問題が世界中で注目され始めたのは、ウミガメやクジラなど海で暮らす生物たちに悪影響を与えているニュースが多く報道されるようになったことが大きなきっかけの1つです。

 

食品の梱包材やレジ袋などの使い捨てプラスチックは、ひとつひとつは小さくて軽いため、あまり深く考えずに捨ててしまい、それが風に流され河川に行き着き、最終的に海流れ着いているのです。

 

WWFジャパンによると、現在、世界の海に存在している廃プラスチックは約1億5,000万トンで、さらに年間約800万トンが毎年流れ着いていると推定されています。この毎年流れ着いている量の約800万トンとは、ジャンボ機に換算して約5万機に相当する重さで、海に流入する廃プラスチックがどれほど多く、問題になっているかが容易に想像できます。

 

(※参照:https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/3776.html?gclid=Cj0KCQjwyur0BRDcARIsAEt86IAVmA9yVLcghNzNG6orBheqKTfyt6Nm2FSXPDZwKmnrAdFkFJ_WHwYaApR7EALw_wcB)

世界と日本の廃プラスチック問題に対する捉え方の違い

このように廃プラスチックの問題については、世界中で注目されている中で、日本のプラスチックの有効利率、つまりリサイクル率は、86%(2017年時点)と非常に高い数値だと話題になったことがあります。

 

しかし、この数値については、もう一歩踏み込んで見る必要があり、この廃プラスチックのリサイクル率86%のうち58%はサーマルリサイクルであるということです。このサーマルリサイクルとは、廃プラスチックなどのゴミを燃やして、そこから発生する熱をエネルギーとして回収することです。資源として有効活用できないサーマルリサイクルは、欧米基準ではリサイクルに含まれず、日本と欧米のリサイクルに対する考え方には、まだ差があることがわかります。

 

(※参照:https://www.pwmi.or.jp/pdf/panf1.pdf)

日本の廃プラスチックの現実

冒頭でも触れたように、2018年1月に中国が資源として輸入していた廃プラスチックの輸入を原則禁止したことで、日本の廃プラスチックに関わるリサイクル業界は大きな影響を受けました。

 

今まで日本は、年間約100万トンの廃プラスチックを中国やタイなどの国々に輸出してきましたが、各国が順次輸入を規制、禁止する動きが加速していることを受け、環境省は日本国内で発生する廃プラスチックの全量を国内で処理する体制を見直すとも報道されました。

 

(※参照:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48111590S9A800C1EAF000/)

 

これに伴い、日本国内の廃プラスチックに関わる処分工場では、処理能力をはるかに超えた廃プラスチックの排出量を処理しきれず、保管場所も上限に達し、今以上の受け入れが困難であると悲鳴を上げているのが現実です。

 

このような国内の廃プラスチック問題の現実については、テレビでも何度も特集が組まれているので、リサイクル業界以外の方々にも周知されつつあります。

まとめ

今回は、世界と日本の廃プラスチックに関わる問題についてご紹介させて頂きました。私たちの生活に身近なところでも、レジ袋の有料化などで影響が出てきていますが、その背景には今回ご紹介したような様々な大きな問題が潜んでいるのです。

 

これらの問題は今後加速する可能性が極めて高いため、今まで当たり前に使っていたレジ袋やストロー以外にも、日々の行動を見直す必要があります。一人一人にできることは小さいかもしれませんが、少しずつ行動を変える努力をしていきましょう。

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